IFA第13回国際会議

 平均寿命の伸びと出生率の低下により高齢化は世界規模で進行している。少子高齢化現象は、年金・医療・介護等の社会保障負担の増大が懸念される一方で、医療関連の人員不足等の問題を抱えている。退職者の知識や経験を生かして新たな雇用を生み出す仕組みや、「高齢者の生きがい」についても討議された。

 2016年6月21日〜23日、オーストラリア・ブリスベンで開催された「IFA第13回国際会議」で、健康な高齢化のためのイノベーションを念頭に、介護・ワクチン接種・エイジフレンドリーシティ構想・災害対策等について討議した。また、人口の高齢化が進む世界各国における制度やコミュニティ、技術の変容の展望等について話し合われた。

 ジョン・ベアード氏(WHO ALC部ディレクター)の基調講演では、WHO「高齢化と健康に関するワールド・レポート」を紹介し、高齢者がそれぞれの暮らすコミュニティの中で年齢を重ね、一般社会への参加を継続し、社会での役割を担い続けることが叶うようにするための総合的なサポート制度の重要性について述べた。

 出席者及び発表者は以下の内容について討議し、次の事項を提案した。

介護のイノベーション(改善)について
  1. 医療従事者や研究者にとって、高齢者へのより良い介護を追求することは責務である。
  2. 介護従事者の賃金と労働環境を改善するとともに、元気な高齢者を地域の介護サポーターとして育成する。
  3. 高齢者中心の医療を提供しその利用をしやすくするためには、システムが高齢者のニーズや嗜好を踏まえて構築されなければならず、また、家族やコミュニティと密接に関わっている必要がある。
  4. 国としての介護保険システムを構築することが望まれる。
高齢者と災害対策について
  1. 防災管理や行動政策の会合は、高齢者を交えて行われるべきである。
  2. 2015年3月14日〜18日に開催された「国連防災世界会議仙台」の「仙台防災枠組」に、高齢者の災害対策に関する項目が含まれていない。地震・津波、水害、熱波、火災等の災害に見舞われた多くの高齢者は、長きにわたり精神的・肉体的・経済的苦難を強いられることになるため、高齢者向けの災害対策に関する制度が構築されるべきである。
  3. 高齢者が現役時代に培ってきた知識や技能を活用することによって、積極的に災害対策等に貢献できるようなシステムをつくるべきである。
エイジフレンドリーシティ構想について

高齢化と都市化はともに世界的な傾向であり、将来を方向づける上で大きな影響をもたらしている。都市が発展するのに伴い、高齢者の住民の割合も増加しているため、各自治体はそのような現実に沿った都市計画を創っていかなければならない。また、災害に強い都市づくりを含めて、エイジフレンドリーシティ構想の重要性についてあらためて強調した。

予防接種について

この度の会議で、高齢者の予防接種について討議された。

ニューサウスウェールズ大学のRaina Macintyre教授によると、オーストラリアの子供(接種率90%)と大人の予防接種率(インフルエンザワクチン70%、肺炎球菌ワクチン50%以下)に大きな差があるという説明だった。大人の接種率が低い理由として様々考えられるが、ワクチンに対する誤った考え方、交通の便、料金の問題等が影響しているということだった。この度の会議で、高齢者が健康で質の高い生活をおくるために予防接種が不可欠であると述べた。

IFA第13回国際会議に参加して(鎌田安則氏)

6月21日〜6月23日までオーストラリア・ブリスベンで開催されたIFA第13回国際会議に参加し、「アート・音楽療法・公文学習療法を取り入れた療養環境の改善」と題して、ウィズユーグループがこれまでアートを用いて取り組んできた活動に加え、音楽療法・公文学習療法を用いた活動をスライドで紹介しながら、その成果や重要性について発表した。

その中で、音楽療法・公文学習療法を行うことで認知症の進行を遅らせる効果や、高齢者に対する学習療法について質問を受け、ウィズユーグループが行っている高齢者施設の療養環境の改善・生活の質向上の取り組みについて参加者から興味をもってもらい、また世界へ情報発信する機会にもなったと考えている。

世界の中でも高齢化率が高い日本において、高齢者が健康で少しでも長生きし良い人生を送れる環境づくりや、世界の高齢者状況・政策について今後とも継続して学んでいきたい。

アユック・クリスチャン氏の発表について

アユック・クリスチャンFOIFA副理事長は、秋田市エイジフレンドリーシティ構想の進捗状況(バリアフリーとユニバーサルデザイン)について紹介した。

閉会式

アユック・クリスチャン氏(IFA理事・FOIFA副理事長)が、IFA理事を代表して「IFA第13回国際会議」閉会の辞を述べた。講演者、発表者そしてすべての参加者に、この度の会議への協力に対して感謝の言葉を述べるとともに、2018年8月8日〜10日、カナダ・トロントで開催される「IFA第14回国際会議」での再会を約束した。